『SMASH 工務店経営の要諦』という本を読む機会がありました。改めて感じることがありましたので、このことについて書いてみます。
皆さんは散髪に行く時、次の3つのどこに行かれますか?
①技術系 :有名なスタッフがいて、散髪のテクニックがすごいお店
②効率系 :スタッフが会話などもせず徹底的に回転率を重視した、コストが安いお店
③地域密着系:地元にあり毎月行っていて、世間話や地元ネタのお話がうまく、
シャンプーや肩揉みなどのサービスがしっかりしていて、よく知っているお店
これは工務店にも当てはまりますね。
①の技術系は、高気密高断熱や特別な工法、また、設計やデザインへのこだわりを売りにしている会社。
②の効率系は、規格化され、徹底的にコストを落としたローコスト住宅の会社。
③の地域密着系は、地域の材料や職人にこだわって、地域性を重視した図面を注文で作り込み、引き渡し後もメンテナンスを定期的に行う会社。
果たしてヤマヒロは、どのタイプの工務店なんだろう?そう考えてみるとき、①の技術系でもあるし、③の地域密着系でもあります。もともとリフォーム屋さんだったので、③の面が基本で、地域材を扱うようになってから、設計デザインに力を入れたことで、①の面も強化してきました。
マーケティングの基本を習ったことがあります。『誰に』『何を』『どのように』伝えるか?言葉にすると簡単なようですが、なかなかできていないものです。ヤマヒロで言えば・・・、
・誰に? :安物買いの銭失いで失敗するのが嫌な人
・何を? :長く愛されるシンプルデザイン
・どのように? :シンプルな外観と内装のルール、機能性のある間取りコード
世の中が歪に発達(?)してきて、注文住宅とは、施主のわがままな要望をヒアリングしてプランを作り、無理難題を言われながら土地を探し、ギリギリの住宅ローンをなんとかして通し、細かく実行予算を組んで、忙しい基礎屋を手配しながら、面倒な補助金を申請し、木材の価格交渉、現場の近隣への気遣い、納期の心配、そうしてやっとの思いでの引き渡し。それを年間に何棟も何十棟も回すことだけに試行錯誤する。それって、本当に良い住宅ができるのでしょうか?
本来、『こんなものやサービスを生み出したい』と起案した人がいて、そこに共感した人と一緒に、まだ何もない状態から資金を用意し、完成するまでのプロセスを一緒に楽しむ。
これって、オーディションからユニット作り、デビューをして多くのイベントを企画実行して、押しも押されぬアイドルグループに育てていく。未完成な段階から、苦楽を共にしてプロセスを共有して価値を高めるという、“推しの地下アイドル”の世界観になんとなく似ているところもあります。
だからこそ建築屋にとって自社で作った住宅というのは、“大切に育てた愛娘”のように感じるんです。お引き渡しは娘を嫁にやる思いです。その後もうまくやってるかな?どこか不具合はないだろうか?長く愛されて、大切に扱ってもらえているか?そんな風に思って当然ですよね。
ものづくりをしている建築屋にとって、こだわりがあるのは大切なこと。ですが、それが自分本位すぎるのも戒めるところ。しかし、建築屋の住宅に対する想いはきちんとお客さんに伝えるべきかと改めて思いました。
そう言う意味で考えると、ヤマヒロはやはり地域密着系の工務店の色がかなり強いのだとおもいます。