設計の玉中です。
先日の芋掘りに続きNPO法人の活動として、11月上旬に山弘のグループ企業【株式会社しそうの森の木】の工場見学をさせて貰いました。普段のNPO活動では間伐や枝打ちなど実際に森の中で作業をすることが多いのですが、「自分たちが手入れをする木はどのように商品となって消費者の元へ届くのか」や「林業界に働きかけている人・会社がどのような考えを持っているのか」を学ぶ事例としてここ数年お世話になっています。
今回はスキルアップ講座のプログラムの1つとして受講生とスタッフ合わせて16人でお邪魔して、「しそうの森の木の常務」で「山弘の社長の弟」の三渡保典さんに案内して頂きました。
色々と話をしてもらったのですが、参加者が特に関心を示していたのが「1本の丸太を余すところなく使い切る」という話です。
丸太から1本の大きな梁または柱を取り出して終わりだとすると、周りの部分はゴミとなってしまいます。
これではもったいない!
そこで、「木取り」と言われる作業が大切となります。
まず始めに丸太の中心付近の部分から梁や柱となる大きさの材を取ります。その周りの部分からは窓枠などに使う厚めの板材を取り、さらに周りの余った部分から羽目板やフローリングなどに使う薄めの板材を取り、最後まで残った余りの部分(端材と言います)は薪ストーブの燃料として束ねておくことで、丸太を少しも無駄にすることなく使ってゴミを出さないようにしています。
端材=ゴミとしないことは資源の有効利用であるだけでなく、同じ1本の丸太でもより多くの部分を商品とすることで利率を上げ、仕入れ価格は同じでも商品を安く販売出来るようにする工夫でもあります。
効率良く木取りを行うためには現場で必要とされる材料とその大きさを把握していること、すなわち山弘と森の木が密に連携を取っていることが重要となります。大きい板を取れたとしても加工する段階で端材になってしまい、「それなら幅は半分で2枚取った方が良かった」といった状態になると意味がありません。
また、木の特性を読み取る知識と経験も必要です。「この部分は板にするとこんな模様になっているから羽目板に使いたい」とか、「この部分は水分が抜けると曲がってしまいやすいので薄い材料に使うのは危険だ」とか、材料の大きさだけではなく様々な条件を気にしながら考えないといけません。
しそうの森の木が山の持ち主・木こり・大工など多くの方と積み重ねた知恵が私たち山弘の大きな武器になっているのだと改めて感じました。
新築事業部 設計 玉中