こんにちは。リフォーム部の角(すみ)です。
現在工事中の現場にて、土壁の解体がありました。
今回はその解体の様子と土壁の性能について触れたいと思います。
土壁は、日本の伝統工法の住宅に多く施工されている壁で、リフォームの現場では、よく出会う壁の種類の1つです。
小舞と呼ばれる細い竹を編んだものを下地にして、粘りのある土を塗り付けて仕上げてあります。築年数が浅い住宅では、竹小舞の代わりにラスボードという建材が使用されてある場合もあります。
土壁には調湿効果があり、日本の気候風土に適した壁であるといえます。
土壁の断熱効果
一般的に土壁に断熱効果は無いとされています。
熱の伝わりやすさを示す熱伝導率は以下の通りです。
一般断熱材/グラスウール : 0.045 W/m・K
ヤマヒロ新築/セルロースファイバー : 0.040 W/m・K
土壁 : 0.690 W/m・K
熱伝導率は、数値が大きいほど熱を伝えやすいので、
住宅用断熱材のおよそ15~17倍、熱を伝えやすいといえます。
ただ、土壁には蓄熱効果があるといわれています。熱を蓄積しておいて、ゆっくり放熱するイメージです。伝統工法で作られた蔵の中は、日中でもひんやり涼しいですが、夕方頃にはムッとするような暑さが感じられます。
土壁の耐震性能
土壁の耐震性能については、いろいろな意見があり、見直されてきています。
現在、耐震診断などで使用されている土壁の壁の力(壁耐力)は、わかりやすく言うと、
ボードを張っただけの壁より強く、
筋交(斜めの木材)を入れた壁と同じくらいで、
構造用合板で補強した壁より弱い
といったところでしょうか。(ざっくりいきました。)
土壁は、地震の際、すぐ倒壊に至らない、粘りのある壁といわれています。
必ずしも弱い壁では無いようです。日本の家は本当によく出来ていますよね。
一般的に耐震改修工事の際は、土壁を落として下地を作り、柱に合板を張って固めるため、柱が見えないつくり(大壁)になることが多いのですが、
名古屋大学では、実証実験により、土壁を残したまま、また柱を見せるつくり(真壁)になる補強方法も紹介しています。
土壁は、現在の新築の住宅ではほとんど見られなくなりました。現在の住宅に求められている性能に至らないことはもちろん、施工するコストも大きいためです。
建築業界では、「土壁の家を建てよう。」という動きも一部ありますが、建材で建てた家のほうが安くて、性能も良いため、少数派であるのが現状です。
土壁を落とすのも大変手間のかかる作業です。
予算のバランスを考えて、土壁の良いところ、悪いところをきちんと理解し、その家に合ったリフォームプランをご提案していけたらと思います。
※土壁については、いろいろな意見があるかと思います。
あくまで個人の見解です。ご参考までに。(笑)
リフォーム部 角