何度か書いたことがあるのですが、“豊かさ”と“ゆとり”。似ている言葉ではありますが、ちょっと違います。
辞書では、
・豊かさとは、十分に満ち足りて、不足のないさま。十分にあるさま。
・ゆとりとは、物事に余裕があって窮屈でないこと。あくせくしない。
とありました。
昔、吉田桂二(建築家)さんの設計スクールで教えてもらったのが、『物に振り回されない生活を作りなさいよ』ということ。
戦後20〜30年の物が乏しかったころは、物をより多く持つこと、つまり豊かさが日本の生活の目標だったと思うんです。でも、それを達成してからもうすでに40年以上。人の生活が物の中に埋まるほど物を多く持ちすぎていますよね。それなのに誰もが現在の生活が満たされていない。それはなぜでしょうか?
結論的に言えば、物にとらわれた生活は人を物欲のカタマリにし、物欲に限度がなければそれこそ無間地獄。物を買い続けて家の中が物で充満している状態。これは十分に満ち足りて豊かではあるのは確かなのに、ゆとりがない。空間がモノで埋め尽くされると、その空間にいる人間は心にゆとりを感じられなくなるからです。
例えていえば、食べたいだけ食べて太ってしまい、ダイエットに励まなければならない状態。大切なのは旬なものを工夫しておいしく食べて、心こそが満たされること。食べ過ぎは苦しいだけです。
もしも新築やリフォームをするならば、今持っている物をできるだけ処分することをお勧めします。そうした上で、物を家具雑貨類、本類、衣料類、その他の大枠4つに分類する。それぞれ種類と量を見て、それらに対し、適材・適所・適量の収納を配置することが大切。
まず、物は使う場所により近く置くことです。例えば下着を2Fにある寝室のクローゼットにしまい込んだとします。そうしますと1Fのお風呂から上がったときにいちいち2Fの寝室まで下着を取りにタオル一枚で取りに上がらなければならないこととなりますよね。そんなこと毎日の生活の中でやっていられなくなりますので、脱衣場に無造作に下着が置かれてしまうことになりかねません。ですので、脱衣場には家族分の数の引き出しの付いたリネン収納が必要です。
また、冬場のコートやジャンパー、仕事の上着など、部屋内に入れたくない物は玄関収納にパイプハンガーを設置しておけば取り出しも楽ですし、部屋のクローゼットも空きができてきます。
さらに、収納は大きければいいというものではありません。大きな収納になると奥にしまった物をどこに入れたかわからなくなり、再度購入してしまうということがしばしば。できるだけ小さな収納に少量を一目でわかるように入れておくべきです。
その他も含め、住宅を充足の場にするためには、私の言うところの8つの収納(※詳しくは下のYouTube動画で紹介しております)がお勧めです。これ以外にも、暮らしに“ゆとり”を持たせるための勉強会、ヤマヒロの家のコンセプトセミナーを随時開催しております。ぜひお問合せください。