田の字の家ってわかりますでしょうか?仏間や客間、寝室にタンス部屋など、4.5畳〜10畳の襖で仕切られた部屋が、田の字に並んだ家を言います。
この図面は、昔、良くありがちな民家の間取り図です。戦前の日本の民家はおよそこんな感じでした。
東南の一番良いところに、一家の働きがしらの馬が寝起きする場所がありました。ニワと書いてあるのが土間です。チャノマに囲炉裏があり食事どころに。オモテがリビング兼寝室です。
これを見ると、食事を作ったり食べたりする場所が非常に大きいですね。全体面積の半分くらいでしょうか。その代わりに個室がないのが特徴です。家族みんなで川の字になって寝ていたのでしょう。
とにかく、家全体をフルで使っていたのがよくわかります。(※ちなみに便所はボットン便所でしたので、玄関を出て外にあるのが普通でした。)
戦後、都市部から順に、台所が高さ85cmのキッチンになり、1人一部屋とはいきませんがある程度の個室ができ、便所が家の中になりました。図のようなサザエさんの家を思い浮かべてもらったらわかりやすいかも。
サザエさんの家だとこの田の字の部分もフルで使ってますね。私はこれが本来じゃないかと思います。
ここ数十年の家づくりでよく見かけるのですが、この間取りのように玄関を入って右側にリビングダイニング。左側に滅多に使わない和室の続き間というようなパターン。この続き間は、冠婚葬祭などの『なんぞごと』の時にしか使わない家が多いんですよね。実に勿体無い。
現代では、結婚式は式場。葬式はセレモニーホール。この続き間を使うのは年に数回あるかどうかの来客時。家族が使うスペースがごくわずか。収納スペースも足りずに、下手をすれば続き間が物置のようになっているパターンも・・・。
ヨーロッパではウクライナの戦争。東アジアでもきな臭いことが。
今の日本。決して盤石とは言えませんよね。経済的にも政治的にも、世界情勢から見ても。
今の平和は危ういところもあるのですが、それでも私たちは日々幸せに人生を謳歌できる。これは決して当たり前なことではなく、数えきれない先人たちの苦労と努力の結果、奇跡的にあるものだと思います。
なんでもない日常。ごくごく普通の日々。実はこれこそが本来の『なんぞごと』ではないでしょうか。だからこそ、日々が“なんぞごと”だと考えます。であるならば、せっかくの日々を楽しく有意義に過ごしたい。普通の日々に使わない部屋をこしらえるのではなく、家全体を家族みんなで使い切ってほしい!サザエさんの家のように!
そんなおもいで、これからも“日々なんぞごと”の家をご提案させていただきます。