数年前のことですが、スポーツ選手のメンタルトレーナー臼井博文先生のお話を聞く機会がありました。どうやらかなりの大物選手や、オリンピックや甲子園の優勝チームなど、多くの選手たちへのメンタルトレーニングを手掛けられたようです。今回はそのご紹介です。
【臼井先生のお話】
①一流選手と二流選手の違い
・一流は勝てると思っている、二流は勝ちたいと思っている
・一流は苦しいことを楽しく感じる脳を持つ
②脳の使い方・・・夢実現の法則
・正しい努力よりも楽しい努力をすること
・正しいことでなく、楽しいことしか続かない
・どうやってワクワクしようか、楽しくしようか?と楽しむことを努力すること
③夢を語り合える友を持つこと
・脳は入力されることでなく、出力されることを信じ実現するようにできている
・ついている人(ワクワクしている人、笑顔の人、プラス思考の人)と付き合うこと
・言い訳や悪口をよく口に出すような、ついていない人とは付き合わないこと
・挨拶は、『お疲れ様』ではなく、『お楽しみ様でした!』が好ましい
・家に帰ったら『ああ、疲れた』ではなく、『ああ!楽しかった!』が良い
④自分のためだけでは続かない
・誰かのためにが入れば、限度がなくなる
・おめでとうではなく、ありがとうと言われよう
・いざ!に強い人は、人を喜ばせたい!と思っている人
・喜ぶ人がいると、人は限界をなくす
・支えてくれる人を喜ばせろ!
・夢は力である
北京オリンピックの時、女子ソフトボールで日本チームが優勝しました。当時、2日で3試合連投の上野投手、指先のマメが潰れ、激痛で感覚がなくなっていたそうです。しかし、この臼井博文先生のメンタルトレーニングが効果を出しました。
そのメンタルトレーニングは過激なもの。あるドキュメンタリービデオを見せることでした。それはフィリピンのある女の子の話。父親が死に、母親は病に伏し、生まれたばかりの小さな弟と、家族のために、ゴミの山からかろうじて売れるものを探し出し、日々の糧を得る5歳の女の子です。これは当時、今まさに起こっている現実の話でした。
確かに国の威信を両肩に背負い、厳しい戦いが続く中、対戦相手は世界最強。実力で言えば圧倒的に格上のアメリカ。日本ソフトに取っては、確かに絶望的な状況でした。でも、自分たちは今、義務で仕方なく戦っているのか?貧しくても、現実がどんなに辛くても、この幼い女の子は生きることを諦めずに頑張っている。それなのに、自分の好きなことをやっているだけの自分たちが、ここではじめから諦めるのか?自分たちはこの一戦を戦い抜いて、みんなに喜んでもらおう。自分たちの戦う姿で勇気を与えよう。義務ではなく、好きだから、楽しいから、ワクワクして戦おう!と、考え方を切り替えたそうです。
私はこの少女のビデオを見せられた時、あまりにも悲惨な現状に涙をこぼさずにはいられませんでした。苦しい時には下を見て、自分はマシだと思うのは不謹慎なことなんじゃないかとも思いましたが、実際、彼女たちはこのビデオを見ることで、自分たちがなぜ戦っているのか?その意義は何なのか?を冷静に思い出すことができたようです。結果、上野選手は怪我をものともせずに投げきり、チームは見事に優勝をし、金メダルに輝きました。
今年の東京五輪、13年ぶりにソフトボールで金メダルを取った日本。私はこのエピソードを思い出しました。
この臼井博文先生がおっしゃられました。『スポーツ選手、とりわけ一流のプロアスリートは何十万人に一人の天才。体力や体格に優れ、その競技に必要な才能を持っているだけでは成功しない。それらを持った上で、“心の強さ”つまり脳の使い方、物事に対する考え方が非常に重要になってくる。1番の人は名前を覚えられるが、2番手以下は名前すら覚えられない厳しい世界。こう言うと怒られるかもしれないが、プロアスリートに比べたら、経営者としての成功なんて少し頑張ればできますよ!色々と辛いこともあるでしょうが、みなさん、もっと楽しんで、日本の景気を上げていってください!』
まあ、それはそうですけども・・・。と、一瞬は思いましたが、なるほどです。
私は、『趣味はなんですか?』とお客様に聞かれたことがあるのですが、その時、思わず『趣味・・・趣味は建築ですね。』と答えました。自分でもびっくりしましたが本心です。お客様に不謹慎ととられたくはありませんが、仕事だから仕方なく建築をやっているのではなく、好きだから建築をやっている。私はそう思っております。うちのスタッフもそういう人材に育ってくれていると思います。好きだからこそ、誰かが喜んでくれるからこそ、この建築にのめり込める!そんな企業にしていきたいと思います。