設計の築山です。これからしばらく建築家吉村順三のことばを紹介したいとおもいます。今日はその19回目
吉村は少年の時から住宅に興味をいだき、日本の自然と風土に培われてきた独特の伝統建築に魅力を覚え、人の生活と幸せ、ヒューマンなものを建築に具体化することを一貫して実施してきた。地域に貢献する、品のある美しい建築を求めて作りつづけて20世紀を生きた建築家である。
吉村は、生前、これからの建築家のあり方を問われたとき、「簡素でありながら美しいもの、自分達の住んでいる日本の、長年にわたる風土と文化によって培われてきたさまざまな建築から学び、日本の気持ちから出たものをつくるべきでしょう」と語った。
そうした建築家吉村順三のことばを、存命中に活字となった新聞、雑誌、書籍等から選び、吉村が語った「建築は詩である」ということばを借りて、語録集『建築は詩』を刊行する(本文中「はじめに」より)
よい空間
問題は、いかにしてよい空間をつくるかということであり、住む環境はいろいろの手を用いて質を落とさないようにすることが大切です。そのほか、品がいいとかエレガンスとかいった問題があると思いますが、これは一流の材料だからとか金がかかったからというばかりではなく、プロポーションが大きく関係していると思うんです。(『講演対談シリーズ=住宅を語る 吉村順三』より)
プロポーションという言葉は、人の体形を表すときに使われることが多いですが、建築の世界でもよく使われる言葉です。
建築の場合は縦横比とほぼ同義語で、外観立面の幅と高さの比を表すときなどに使います。古代ギリシアにおいてもプロポーションは神殿建築の美的調和を論ずる際に重要な要素でありましたし、ル・コルビュジェも比例を大事にしていました。
そんな要素が住宅にも重要であるという。しかと心得ておきたいものです。
営業設計課 築山大祐