設計の築山です。これからしばらく建築家吉村順三のことばを紹介したいとおもいます。今日はその2回目です。
吉村は少年の時から住宅に興味をいだき、日本の自然と風土に培われてきた独特の伝統建築に魅力を覚え、人の生活と幸せ、ヒューマンなものを建築に具体化することを一貫して実施してきた。地域に貢献する、品のある美しい建築を求めて作りつづけて20世紀を生きた建築家である。
吉村は、生前、これからの建築家のあり方を問われたとき、「簡素でありながら美しいもの、自分達の住んでいる日本の、長年にわたる風土と文化によって培われてきたさまざまな建築から学び、日本の気持ちから出たものをつくるべきでしょう」と語った。
そうした建築家吉村順三のことばを、存命中に活字となった新聞、雑誌、書籍等から選び、吉村が語った「建築は詩である」ということばを借りて、語録集『建築は詩』を刊行する(本文中「はじめに」より)
すまい 生活と人の感情
家の形
私は家の形がひとつひとつそんなに違う必要はないと思いますね。世界じゅうどこに行ってもだいたい同じような形の家で、そのなかでいかに個性を出そうかと考えているわけでしょう。それこそ鳥の巣とか、けものの巣とかありように通じるもの。同じ鳥の巣なら皆、同じような形をしていますね。そのなかでどう住むかというところが、人間の面白さじゃないでしょうか。(『ホームプランニング 世界の市民住宅』より)
他人と同じがつまらないと、自己主張の強い建物は、街中にあると、とても居心地が悪そうに見えるものです。