
私が所属している業界団体の中で、“地球の会”という会があります。なんとも大仰な名前ですが、これは20年間も続いている会で、“国産材で家を作ることを業界の当たり前にして地域を復興させる”という目的を持っています。この会がスタートした頃に出された本、タイトルが『建設業の明日を拓く 山と森と住まい』を読み直し、改めて本に帰ることができた思いです。少し紹介したいと思います。
“木材流通維新”と“住宅建設維新”。地域復興をなすには、この二つの維新を連動して起こさねばならない。(維新とは物事が改まって新しくなることだそうです。)
木材維新とは、木材産業で流通の中心であった原木市場の存在を見直し、山の生産者と製材工場を直繋ぎ、流通をより簡潔にするということ。原木市場は元々よく考えられ有益な組織であったが、外国産材との市場競争の中で市場価格決定権を失い、山側にお金を返しにくくなり林家の経営を諦めざる得なくなり、山が放置され荒れ放題になったゆえの方策。これにより、熱心に取り組む産地では、外国産材に対して競争力をもてるようななったが、これだけではこの改革は行き詰まってしまう。こうして供給される国産材を使う側、つまり需要側の改革が強力に推し進められなければならない。
すなわち需要側である住宅産業での国産材利用促進“住宅建設維新”が強く要請されるのである。これは地場工務店の意識と技術、さらには地元の木を愛する国民運動として広がっていくべきである。つまり、地場工務店の経営者はこの住宅建設維新の先導者にならねばならない。近年の経済の地盤沈下、顕著な経済成長のストップ。この状況では、各地域ごと、独自に盛り上げる努力が必要である。そこで注目されるのが地産地消の地域振興策。その中でも最も期待がされるのは、地域の資材を用い、地域の職人の手により、地域の技術と芸術、文化を実現した住宅づくりである。つまり、この住宅建設維新は、地域の経済的復興策そのものでもある。
ヤマヒロもこの20年間、この地球の会に大きく影響を受けてきました。この間に、新築商品の確立。社員大工の育成。製材業の復活など、大変ではありましたが、まさにこの二つの維新に沿って取り組んできました。その目的は、我々の地域“西播磨”の復興。地域産業の復権。まだまだ道半ばではありますが、こののちも励んでまいります。