山口周さんの著作『ニュータイプの時代』をご紹介。いわゆるビジネス本ですね。これから求められる商品・サービス。そして人とは?面白い視点です。
・図左のような20世紀的な優秀さは、既存の不満や問題を解決するのに必要な能力だった。こういう能力が優れている人はいわゆる問題解決タイプ。そういった人材は今後急速に価値を失っていくだろう。なぜなら、モノの溢れる現在、もうすでに既存の問題自体がほとんどなくなっているため、問題解決タイプの人は余ってしまっているから。
・今後求められるのは、図右のような「自由で直感的、わがまま」なニュータイプ人材。今後求められるのは、既存の問題を解決できるタイプではなく、まだ世間が気づいていない問題を見出し、それを解消する商品やサービスを提案できる、いわゆる問題設定タイプの人材である。
「モノ」が過剰で、「問題=意味」が希少な時代
ここで、「モノ」は顕在化された問題を解決する手段。過去の高度経済成長時の大量生産で、すでに「モノ」が溢れかえる現代では、不満・不便・不安を感じること自体が減っている。つまり、「解決すべき問題=意味」こそが希少な時代である。それが21世紀という時代。ということです。
だから、かつて高く評価された、ひたすら高い生産性と量的成果を追求するオールドタイプ=「問題解決型の商品・サービス・人材」は、無意味な仕事の泥沼に陥っていく。
その一方、まだ世の中の誰も気づいていない問題を見出して、それを解消する方策を提起するニュータイプ=「課題設定型の商品・サービス・人材」は大きな価値を生みだすことになる。と予言しているのです。
家づくりもそう。戦後の住宅不足、核家族化、若者の都会への進出、住宅の洋風化という選択肢、台所からキッチンへの進化、下水完備による便所の清潔化、白物家電全盛期、モータリゼーション、子供の学力・学歴、駅近・便利な立地、サッシュの断熱化、家電IOTなどAI化、省エネルギー住宅、ゼロエネルギーハウスなど、「モノ」の少なかった時代の“問題解決型住宅商品”のトレンドは行きつくところまで行き着き、まさにステレオタイプで無個性。“役に立つけど意味はない”といった状態なのかもしれません。
コロナ禍の巣篭もりを経験した、これからの家づくりに必要なのは、ずばり「意味」になってくるのではないでしょうか。例えば、“豊さ”だけでなく“ゆとり”、心を休める何もない時間・空間のための断捨離、在宅ワークという生活・勤務スタイル、森の中・海端など自然との共棲、ファームという自足自給、大概のことは自分でやるDIYスタイル、地域らしい街並み形成、地域への参画・貢献、学力だけでなく倫理観や道徳観、先祖・八百万の神への祭祀、夫婦愛和、地域観・国家観・国際人、施主の家名継続などなど。豊かさだけではなく、“さして役には立たないが意味がある”そんなテーマをプラスした選択肢。
まだ誰も気づいていない問題=意味を見つけて、提案していく“課題設定型住宅商品”が求められる時代なのかもしれません。この本の予言が正しければ、ますます腕がなる時代到来です。