ヤマヒロの家には、よく戸袋が付いているのを見ますが何の為に付けてあるのでしょうか?
元はといえば戸袋には雨戸を収納する機能がありました。
雨戸とよく似た機能を持つシャッターというものもありますが、何が違うのか調べてみました。
雨戸の歴史
雨戸の歴史はとても古くて、安土桃山時代まで遡ります。もともとは柱の間の敷居と鴨居に三本の溝を掘り一番内側に障子を、外の2列の溝に『舞良戸(まいらど)』と呼ばれる板戸が入っていました。風雨をしのぐ時や夜間には板戸を閉めて過ごしていたようです。また、柱の間に常に板戸があるので、板戸を開けたとしても半分は隠れている状態となりますので、少し暗かったのかもしれません。
そして安土桃山時代に入り書院造りが広がってくると、障子や襖による間仕切りが発達し、そうした中で雨戸という独立したものが生まれたようです。雨戸の登場により室内はより明るく、そして建物の柱は円柱から四角い柱へと変化していきました。
シャッターの歴史
一方のシャッターの歴史は意外と浅く、19世紀中頃にイギリスで木製シャッターが開発されました。その後、スチールシャッターが開発され日本へ導入されたのは明治29年(1896年)、スチールサッシと共にイギリスから輸入され、日銀本店に取り付けられたのが始まりです。
今でこそシャッターと海外と同じ名前で呼ばれていますが、当時は「畳込防火鉄戸」と呼ばれていました。名前からしてもとても堅牢で火事に強そうな名前ですね。
シャッターの歴史は災害の歴史といても良いくらい、大きな災害が発生するたびに、その有効性が注目されてきました。関東大震災ではシャッターの防火性が高く評価され、のちに広く普及することになります。
1950年に建築基準法が施行されたあとは、耐火建築物や特殊建築物の規定に盛り込まれ、全国的に普及が始まりました。1955年を過ぎると軽量シャッターが登場し、小規模な建築物や店舗やガレージなどにもシャッターが使われるようになります。
一方で、住宅用のシャッターは独自の進化を遂げ、防火や防犯の他に通風や採光など機能を重視したタイプも広く普及しています。
それぞれ、以上のような歴史を持つ雨戸とシャッターですが、どちらも求められる機能としては、防災と防犯につきるのではないかと思います。シャッターには電動化されたものあって開閉は手軽に行えます。一方で雨戸は一つのレールをつかって出し入れするものが一般的なので、少しわずらわしさを伴います。しかしながらデザイン的な面においては、断然雨戸の方が有利なのではないかと思います。特に雨戸を納める戸袋やサッシ廻りの枠、また、庇などを木でつくりこむことで印象的な外観をつくり出すことに役立っていると思うのです。
ガラリ網戸
木製引込戸を付ける場合に、使うことが多いのがガラリ網戸です。網戸にルーバー状のガラリを設けることで雨戸に求められる防犯と防災機能を付加したものです。引込戸は、その構造上どうしても建具を納める戸袋が大きくなってしまいます。なので、雨戸と網戸を一緒にすることで、大きくなりすぎないようにしています。
ガラリ状になっているので、完全に閉じた状態にならずに良い雰囲気を創り出してくれます。
住宅事業部 営業設計1課 築山