今日も一冊ご紹介。営業設計の築山です。
ディテールで読む木の設計
吉田桂二の設計作法
すべての木造のプロに伝えたい、木造の大家の設計作法
発行日 2003年10月1日
著 者 吉田 桂二
発行所 風土社
本書冒頭に「ディテールは建築の造形と空間を確定させる要素である」と、あります。
意味は、造形とは建築として造られた物的な形、空間は物的な形に内包されている使用目的を持って造られた限定された広がりを指している。この二要素によって建築は成立しているわけである。そして、空間を内包した物的な形として建築は、無限定な広がりである外部空間の中に存在することになる。
人が建築を認識するのは、もっぱら視覚によるのが一般的であろう。建築物の外から、遠くから近くから、そこに住んだり使ったりしていれば内部から、動くものを動かせば視覚はさらに展開する。建築はあらゆる角度から静的動的に視覚はさらされている。
だから建築は、眼を近付けても遠ざけても、動くものを動かしても、どこから見ても美しくあらねばならない。
ディテールないし納まりは建築の部分ではあっても、建築の全容が総合性をもって構成されることで初めて可能な、視覚的な美に関わる重要な一要素であることは間違いない。(本書より)
本書中ほどに、「ウソのない形を求める」という話が出てくるのですが、建築における形の上でのウソは、外の形と内部空間の間に、まったく連動性がない状態のことではないかと考えている。住宅でいえば、間取りを造ってから、やおら屋根の形を考えるような思考法だとこうなりやすい、とある。
水平に天井を張るのがしごく当然と思いこんでいると、ウソに気づくことはない。天井ふところが大きいということは、いわば、ころもの厚い天ぷらのようなものだ。と、吉田桂二は辛らつに語る。
一見窮屈に見える、吉田桂二の設計作法ですが、そこから生み出される建物はアスリートの肉体のように無駄なものが一切なく美しい姿をしている。
天ぷらの衣は薄い方が美味しい。と思うのですが、皆さんはいかがですか?
営業設計1課 築山